お知らせNEWS

ALCパネルの弱点と塗装方法

2025.11.30 コラム

外壁材にはさまざまな種類がありますが、その中でも「ALCパネル」は耐火性・断熱性に優れ、比較的軽量で施工しやすいため、ビルや住宅の外壁に広く使われています。
しかし、優れた建材である一方で弱点も存在し、適切なメンテナンスを行わなければ劣化が早まり、建物全体の寿命に影響を与えてしまいます。ここでは、ALCパネルの弱点と、外壁塗装によるメンテナンスの方法について詳しく解説します。

ALCパネルの特徴と弱点

ALCパネルとは?
ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)は、高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートです。内部に気泡があるため軽量で断熱性に優れ、さらに耐火性や遮音性も高いのが特徴です。

しかし、その構造からくる弱点もあります。

1. 吸水性が高い
ALCパネルは内部に細かな気泡を持つため、非常に吸水しやすい素材です。塗装やシーリングが劣化していると、雨水がパネル内部に浸入し、反りやひび割れの原因になります。

2. ひび割れが発生しやすい
パネルそのものは軽量ですが、硬く脆い性質を持っています。そのため地震や建物の動きに伴ってクラック(ひび割れ)が入りやすい傾向があります。

3. 継ぎ目からの劣化
ALCパネルは一定サイズごとにパネルを張り合わせて施工します。パネル同士の継ぎ目にはシーリング材が充填されていますが、この部分が劣化すると雨水が浸入し、漏水や内部鉄筋のサビにつながります。

ALCパネルの塗装方法とメンテナンス

ALCパネルを長持ちさせるには、定期的な塗装メンテナンスが不可欠です。ポイントは「吸水を防ぎ、ひび割れや継ぎ目をしっかり守る」ことです。

1. 下地処理の徹底

 ⚪︎ 高圧洗浄でカビ・コケ・汚れを落とし、塗料の密着を高めます。

 ⚪︎ クラック補修は、ヘアークラックであればシーリング材を充填、構造的なクラックなら補強材を使って補修します。

 ⚪︎ シーリング打ち替えは必須です。劣化した目地を撤去し、新しいシーリング材を充填することで継ぎ目からの浸水を防ぎます。

2. 吸水を抑える下塗り
ALCは吸水性が非常に高いため、下塗りには「浸透性シーラー」や「フィラー」をたっぷり塗布し、表面をしっかり固めることが重要です。下塗り不足は早期の塗膜剥離につながるので注意が必要です。

3. 上塗り塗料の選び方

 ⚪︎ シリコン塗料:コストと耐久性のバランスが良い

 ⚪︎ フッ素塗料・無機塗料:耐久性が高く、メンテナンス周期を延ばせる

 ⚪︎ 防水性の高い塗料:特にALCには有効で、雨水の侵入を防ぎやすい

ALCはひび割れしやすいことから、塗膜が柔軟で追従性のある塗料を選ぶのも有効です。

4. 適切な塗り重ね
一般的に下塗り+中塗り+上塗りの「3回塗り」が基本ですが、ALCの場合は下地の状態によっては下塗りを2回行うこともあります。吸い込みが強いため、塗膜をしっかり形成することが長持ちのポイントです。

メンテナンスの周期目安

ALCパネルは吸水性が高いため、他の外壁材(サイディングやモルタル)に比べても短めの周期での点検・塗装が推奨されます。

◉ 点検の目安:5〜7年ごと

◉ 塗装の目安:10〜12年ごと

また、シーリング部分は塗装より早く劣化することがあるため、早めの補修が必要です。

まとめ

ALCパネルは、断熱性や耐火性など多くのメリットを持つ優れた外壁材ですが、弱点は「吸水しやすい」「ひび割れやすい」「継ぎ目が劣化しやすい」ことです。
これらをカバーするには、定期的な塗装メンテナンスとシーリング補修が欠かせません。

塗装では「下地処理の徹底」「吸水を防ぐ下塗り」「柔軟で防水性のある上塗り塗料」がポイントになります。職人としては建物の状態をしっかり診断し、最適な補修と塗装プランをご提案することが重要です。

適切なメンテナンスを行えば、ALCパネルは長期間にわたって快適で安心できる住まいを守ってくれます。

お知らせ一覧へ